『半地下の家族』の”臭い”が意味すること【物語のカギ】
初めまして。映画大好きな理系男子のオレンジです。
映画「パラサイト 半地下の家族」はもうご覧になりましたか?
最高に面白かったですね。
しかし、作中で度々取り上げられたギテクの”臭い”が何を意味するのか分かっていない方はいるかもしれません。
そこで今回は、物語のカギとなるギテクの”臭い”について取り上げたいと思います。
半地下の”臭い”は貧困層の象徴
キム家の父「ギテク」の”臭い”は一体何なのでしょうか。
作中、パク家の父「ドンイク」や妻「ヨンギョ」がギテクの”臭い”を気にする描写がいくつかありました。
ドンイクは「切り干し大根のような臭い」などと罵り、ヨンギョは同じ車内で不快そうに鼻をつまむなどの態度を取りました。
その臭いは、長年”半地下の家”で過ごしてきたために体に染みついた臭いです。
身体を洗っても服を洗ってもその臭いは落ちません。
そのため、半地下の臭いはキム家の”貧困の象徴”とも言えます。
ドンイクやヨンギョが自分の臭いについて言及したことで、ギテクは自分が”貧困”であることを突きつけられます。
それと同時に、ギテクは”半地下の臭い”を指摘する(つまり貧困層を差別する)パク家に強い怒りを覚えるようになっていたのですね。
洗っても決して消せない”半地下の臭い”によって、ギテクは自分が”貧困”であることを思い知らされたのです。
父が最後に惨劇を起こした理由とは
貧困の象徴である”半地下の臭い”は、ギテクが誕生日パーティで取った衝撃の行動にも結び付きます。
グンセが地下室から出てきてパーティ会場の人々を襲った時、ドンイクはグンセの”地下の臭い”を嗅いで鼻をつまみ、とても不快そうな顔をしました。
そのドンイクの顔を見たギテクは、怒りが頂点まで登ってしまいます。
ドンイクが不快に思ったグンセの臭いは、半地下で暮らす自分の臭いと同じだから。
怒りで我を失ったギテクは、包丁でドンイクを刺殺してしまいます。
伏線が一気に回収された瞬間でした。
この結末は、非常に悲しいですね。
『半地下の家族』の”臭い”が意味すること【物語のカギ】まとめ
ギテクの”半地下の臭い”が結末に大きく影響していたことがお分かりいただけたでしょうか。
”半地下の臭い”が貧困の象徴であり、富裕層のパク家によって貧困の象徴を突きつけられたギテクは思いがけず惨劇を起こしてしまいました。
ギテクのように、人間は他者のちょっとした言動や仕草から”格差”を感じるものです。
富裕層の人が、嗅ぎ慣れない”半地下の臭い”を嗅いで不快に思うのは仕方のないことかもしれません。
しかし、できるだけ周りの人に配慮した言動を取ることで、”格差社会”でも少しは生きやすくなるのではないかと思います。
この記事で学んだことを踏まえてもう一度「パラサイト 半地下の家族」を観てみると面白いかもしれませんね。